株式会社GA technologies
執行役員CAIO 稲本浩久さん
▼コーポレートサイト
https://www.ga-tech.co.jp/
■Lancers活用前に抱えていた課題
・正確な画像認識データが欲しかった
不動産業者より月に数千件ほど届く物件情報のチラシを、画像認識しデータ蓄積したかった。しかし、AIを利用した画像認識率は100%正確にはならず、人の手によって確認・修正作業が必要な状況だった。
・土日祝日や深夜の業務負担を解消したい
しばらくの間、スタッフの手によって確認・修正作業を行っていたが、チラシの量が多く土日祝日や深夜に作業する機会が増えた。業務負担を解消したいという思いがあった。
■Lancersでこう解決!
・正確なデータを効率良く蓄積できるようになった
画像認識後フリーランスによる確認作業が入ることで、100%正確なデータがコンスタントに集められるようになった。
・土日祝日や深夜の作業がなくなった
Lancers Outsourcingのおかげで、土日祝日や深夜に行っていた作業が解消。手離れもよく、管理自体を一括で委託しているので負担が減った。
精度100%の物件データの蓄積を目指し、フリーランスを活用

事業内容と今回フリーランスを活用した部署について教えてください。
一言でいうと不動産業を営んでいる会社です。不動産と聞くとアナログなイメージを抱く方もいらっしゃるかもしれませんが、弊社は「テクノロジー × イノベーションで、人々に感動を。」を理念に掲げ、主にPropTech領域のサービスを展開しています。
例えば、月間250万PVを誇る、PropTech(不動産テック)総合ブランド「RENOSY(リノシー)」では、テクノロジーを取り入れながら、借りる・買う・売る・貸す・投資するといった不動産体験を効率的に提供しています。
他には、SaaS型のBtoB PropTechプロダクトの開発、AIを活用した不動産ビッグデータの研究、中国⼈投資家向けプラットフォーム「神居秒算」など、海外PropTech事業の運営も行っています。
今回Lancersを利用させていただいた「AI Strategy Center」は、20名程度が在籍し、AIの開発やデータ解析を行う研究部署です。
Lancersを利用しようと思った経緯を教えてください。
不動産業では、販売図面やマイソク(物件の概要、間取り図、地図などをまとめた資料の通称)と呼ばれるチラシで物件情報が流通します。もちろん、CSVなどのデータで情報をやりとりすることもありますが、一定量は図面が掲載されているチラシで情報が出回っているんですね。
弊社でも他の不動産業者様から、月に数千件ほどチラシが送られてきている状況でして。とにかく量が多いため、いつも担当者がサッと目を通して処分してしまうことが続いていました。
「AI Strategy Center」は、AIの開発やデータ解析をする部署だったこともあり、送られてくるデータを蓄積したかったんですね。ですが、毎回手打ちでチラシデータを入力するのは酷なので、自動で画像認識ができる技術開発を行いました。
しかし、読み取る技術を開発したものの、当時の画像認識率は85%ほど。15%も間違っていたので、現場担当者からは「情報が信用できない」「読み取りをしないでくれませんか?」という意見が挙がりました。
そもそもAIを活用した画像認識は、認識率が100%になることはありません。間違っていないかどうかは、最終的に人の手によって確認する必要があります。
間違っている部分を修正し100%正しい情報にするために、対策として認識後のデータ確認を手作業で行いました。3ヶ月くらいは私一人で作業しており、だんだんと職人のように捌けるようになってきたんですが……(笑)通常業務もあるため、次第に土日祝日や夜中も作業することになり業務負荷が課題になってきたんです。そこで、クラウドソーシングを使って解決できないかと思い、ご相談させていただきました。
Lancersを選んだきっかけは「手離れの良さ」
数あるクラウドソーシングの中でも、Lancersを選んだ理由を教えてください。
「手離れの良さ」が決め手でしたね。
もともとクラウドソーシングには興味があり、各社のサービスを見比べていました。その際、価格を重視すると共に同じくらい気になっていたことが「手離れの良さ」だったんです。
何か業務を頼みたいと思っても弊社側から管理者を出さないといけない場合、アルバイトを雇って社内に置いたほうがコストも手間もかかりません。管理を含めての業務を丸ごと委託できないと、せっかくフリーランスを活用しても負荷が下がったとは言えなかったからです。
そのため弊社側に管理を置くのではなく、フリーランスとのやりとりを含めての業務を丸ごとお願いできるサービスを探していたところ、たまたまLancersの営業担当者様から「Lancers Outsourcing」をご紹介いただきました。懸念していた手離れの良いサービスだったため、導入を決定しました。
どんな業務を依頼されましたか?
自動で読み取りした家賃や管理費などのチラシ情報が正しいか、確認と修正を行ってもらいました。
情報が正しいかの確認なので、特別なスキルはほとんどいらず「日本語が理解できる人」くらいを条件に、対応してくださるフリーランスを探してもらいましたね。
弊社側は管理を含めて全て委託している状態なので、実際に何人のフリーランスの方々に動いてもらっているかは把握していません。「チラシ◯枚分の確認に、このくらいの金額をお支払いします」と伝えているだけなので、手離れの良さを実感しています。
課題だった業務負担が軽減!紙で流通する物件データの蓄積と活用ができるように

実際にLancersを利用してみて、どんな変化がありましたか?
土日祝日や夜間に作業をしなくてよくなりました。コツコツ確認していた業務負担がなくなり、とても助かりましたね。
ちなみに弊社では、正しく蓄積されたデータを使って、物件の良し悪しを判断するAIや、適正価格を判断するAIを開発することができました。
更に、蓄積したデータを書類の自動作成などに利用することもできました。結果、物件を仕入れる作業効率が3倍にもアップしたんです。
今までの場合ですと、一度仕入れるのには25時間程度かかっていたのですが、7〜8時間程度で終了するようになりました。
もちろん、他のメンバーによる確認作業やデータなどの努力の積み重ねによって実現できましたが、作業効率が上がったのは嬉しかったです。
想定外の変化や効果はありましたか?
「業務時間外や夜間に作業をし、朝にはデータの処理が完了できないか」と相談したところ、海外在住の日本人ランサー様に依頼をしていただきました。朝には綺麗なデータをいただけたので、こちら側の作業を止めることなく進められたのは驚きました。
今後どのようにLancersを活用したいでしょうか?
アノテーション作業を拡大していきたいと考えています。
例えば、物件チラシの下に不動産会社のロゴや住所などの情報が記載されていると思います。これは「帯」と言って、この帯替え作業も不動産業界では頻繁に行われています。
自動で帯の位置を検出して内容を変更する作業も100%正確ではないので、確認、修正といった要素は、今回の事例のように増やしていきたいですね。すでにランサー様に依頼している案件もあるので、こういった作業の拡大を目指したいです。
画像認識や音声認識といったAI技術は精度が100%にはならないこそ、ギャップを埋めるためには人とAIの協調作業が必要。今後も差を埋めるためにフリーランスの活用は検討したいと思っています。
初めてのフリーランス活用は「小さく」スタートしてみよう
他の企業が初めてフリーランスを活用する場合、どんな点を意識したらいいでしょうか?
いきなり大きな案件を発注するのではなく、小さい案件から依頼してみるといいと思います。
例えば、初めてAmazonで買い物をしたとき緊張しませんでしたか?「本当に届くのか」「クレジットカード情報を登録しても大丈夫なのか」など、不安を抱いたと思うんです。しかし、試しに小さいものから購入してみると翌日には届き、想像以上に快適な買い物体験ができたと感じたはずです。
同様にフリーランスへの発注もいきなり大きな仕事を頼むのではなく、比較的成果が分かりやすく、相手がサボっているか否かの状態が分かりやすい案件からスタートしてみるといいでしょう。
一度試してみて、いかに快適に仕事が進むのか、安心して仕事を任せられるかといった体験ができると、この後も継続的に依頼ができると思います。
ありがとうございます。最後に今後の展望について教えてください。
自社の継続的なAIの開発、またはデジタル化の仕組みによって、一層自社ビジネスを強くしていきたいと思っています。また、我々の培ったノウハウを他社様に提供することによって、不動産業界全体もよくしていきたいですね!
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https://www.lancers.jp/outsourcing
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取材・文:田中さやか
https://www.lancers.jp/profile/sayakatanaka
テレビ番組制作会社の勤務を経て、2017年よりフリーライターに。働き方・生き方のジャンルをメインに取材やインタビュー記事を執筆しています。