株式会社旅工房のご利用事例

車両内全面で展開した、ベトナム航空コラボレーションキャンペーン
ランサーズ株式会社 クリエイティブディレクター 三宅美奈子さん(左)
株式会社 旅工房 統括マネージャー 平沢祐介さん(中央)
株式会社 旅工房 クリエイティブセクション 新島沙樹さん(右)
株式会社 旅工房は、アレンジからフルオーダーメイドまでの海外旅行・海外ツアーを提供している旅行会社です。2016年12月、ベトナム航空との共同キャンペーンを展開しました。
ポスター、トレインチャンネルのクリエイティブを制作し、京浜東北線の車両内全面をジャックする大規模キャンペーンです。本キャンペーンの肝となったクリエイティブは、どのようなプロセスを経て実現にいたったのでしょうか。
旅工房の統括マネージャーである平沢祐介さんとクリエイティブセクションの新島沙樹さん、そしてクリエイティブディレクターとして企画・制作に携わったランサーズの三宅美奈子さんによる鼎談から、キャンペーン成功の秘訣に迫ります。
失敗が許されない状況で、ランサーズという選択
――旅工房とベトナム航空、2社の共同での車両内全面広告を行なった経緯を教えてください。
平沢:ベトナム航空さんが日本での認知向上を目的としたプロモーションを検討していた、というのが始まりです。旅工房がベトナム航空とターゲット層、メイン顧客が同じであったこともあり声をかけていただきました。
当社としてベトナム旅行に注目していたこともあります。女性受けの良いオシャレなリゾート地という一面がありながら、少なからず「途上国特有のアジアっぽさ」を感じている人も多くいらっしゃる。ベトナムの本当の姿を、もっと広めていきたいという想いがありました。
お話を頂いた時点では、今回の車両内全面広告を実施するということはすでに決定していて、検討の結果、JR京浜東北線で実施することになりました。
――クリエイティブを作成するにあたり、旅工房での内製を検討したそうですね。
新島:Web制作を主に手掛けていたため、知見が多くなかったというのがあります。車両内全面広告という試みに関しては、まったく初めての挑戦で、必要な物事を把握しきれていませんでした。
結果として、残念ながら制作したものに対して社内でのレビューで承認を得ることができず、再制作することになってしまいました。
デザインがどうということよりも、旅工房としてこの広告で「何を伝えたいのか」「何のためにこの広告を出すのか」という部分が明確になっていなかったのが原因だと振り返って思います。
――再制作にあたり、ランサーズに外注という選択をなさったのはなぜでしょうか。
平沢:絶対に失敗できなかったからです。かけているリソースや影響度などを考えると、会社として大きなチャレンジでありエポックメイキングな案件でした。
広告枠を抑えていたことからも、クオリティとスピードの両立が至上命題となっていたのです。この状況と熱量を受け止められる、実績があって信頼できる方は誰なのかを探していました。
そんな折に社内から挙がったのが、ランサーズの三宅さんという存在です。豊富な実績を持つクリエイターとのコネクションが見つかったので、その場で連絡してもらい、当日に打ち合わせをお願いしました。
足し算だった取り組みが、掛け算の相乗効果へ
――三宅さんを加えた新たな体制で仕切り直したわけですが、印象的なことはありますか?
平沢:印象に強く残っているのが、初回の打ち合わせで「そもそも旅工房ってどんな会社ですか?」と聞かれたことです。その質問にとてもハッとさせられて。
車両内全面広告をやるということに意識が集中してしまっていたのですが、旅工房として「何を伝えたいのか」や「旅工房はどんな会社で、どんなプロモーションが適切なのか」そういった部分を、外部の方に入っていただくことによって改めて強く意識することができました。
――初回打ち合わせから2週間程度で初稿が提出されたそうですが、そのときの率直な感想はいかがでしょうか。
新島:社内で制作したものよりコンセプトが明確化され、伝えたいことがしっかり可視化されていました。
弊社がサービスにおいて大事にしていることや強みは、『お客さま一人ひとりに寄り添ったサービス』、『アレンジ力』『オーダーメイド力』といった部分です。
それらが制作物に盛り込まれていましたので、伝えたかったことがきちんと汲み取られていると感じ、個人的にはとてもしっくりきました。
――旅工房の強みの部分を入れたということですが、三宅さんはどのような意図があったのでしょうか。
三宅:ベトナム航空、旅工房のコラボレーションにもっとフォーカスをしないと、ベトナム旅行を訴求した普通のキャンペーンで終わってしまうと思ったんです。2社での取り組みという部分がニュースであり、キャンペーンを張るほどの新規性にも関わらず。
一番のポイントがそこにありましたので、まずは、2社を組み合わせたロゴを作成しました。そして、平沢さんや新島さんにヒアリングを重ねて、強みの視点をコピーに入れ込んでいったんです。
平沢:ベトナム航空と旅工房のコラボレーションにフォーカスする。こういった考え方が言語化されていったことで、それまで、ベトナム航空と旅工房という2社の足し算でしかなかったものが、掛け算になりました。こういう視点が新鮮でしたし、成功の要因だったのではないかと思います。
クリエイティブディレクターの介在価値はどこにあるか
企画・制作した8種類のポスターのうちの1つ
――本プロジェクトのなかで、クリエイティブディレクターとしての三宅さんの役割は?
三宅:毎回プロジェクトに携わるたびに思うことですが、自分が入ることで全体の価値が上がらないのであれば意味がないと思っています。ランサーズのプラットフォームを利用いただけば、クライアントさんとランサーさんが直で仕事を受発注できるわけです。
そうではなくて、その間に自分が入る意味とはどこにあるのか。何を期待されていて、どのような責任を負っているのかをいつも考えています。
クリエイティブディレクターが担う役割は、一般的にはクリエイティブ全体を成功に導くためのディレクションです。今回においてもそこは変わりませんが、状況次第で臨機応変な対応が求められると考えています。
顧客や制作者のパフォーマンスを最大化し、成果にコミットする。そこに、クリエイティブディレクターが介在する価値が大きくあると思っています。
――具体的にはどのような工夫をなさったのでしょうか。
三宅:制作期間が限られているなかで、目的を達成するためにはどのクリエイターに協力を仰ぐべきかを考えた結果、これまで組んだことのないパートナーを選びました。
実績は拝見しており、以前からこの方に最適な案件が発生したらご一緒したいと思っていた、ランサーズにご登録いただいているクリエイターです。
とはいえ手戻りが許されないスケジュール感でしたので、とにかく密なコミュニケーションを心がけました。クリエイティブディレクターである私からの伝達はもちろんですが、プロジェクトにおける情報のオープン化を徹底したんです。
平沢:ミーティングを頻繁に開催いただいたのは印象に残っています。それ以上に印象的だったのは、毎日のように前向きなメッセージを発信なさっていたこと。
制作中はそれぞれの立場で苦しい場面があったと思います。どんな難題があっても、三宅さんはチーム全体にポジティブな言葉を送って、鼓舞しつづけてくださいました。
一丸となってゴールに向かおうという空気をつくる。これは旅工房と制作会社さんだけではできなかったことでしょう。関係者全員が、プロジェクトを自分ごとに捉える工夫をなさったんだと思います。
――そうやって作り上げたチームによって展開されたキャンペーンですが、その効果はいかがでしたか?
平沢:キャンペーンの目的は、「旅行会社の第一想起に旅工房が入る」「ベトナムに行くならベトナム航空」と認識してもらうことでした。
弊社のサービスをご利用いただいているお客さまからは、旅工房が広告を出すというイメージをお持ちでない方も多く、「旅工房さんはこういった広告もやるんですね!」という驚きの声をいただきました。
「ベトナム航空は一日5便も飛んでいるんだ!」というような声をいただけたことからも、旅工房とベトナム航空、両社の伝えたい情報がちゃんとお客さまに伝わっているなと思っています。
パートナーであるベトナム航空さんにもご満足いただき、旅工房とコラボレーションして良かったと言っていただくことができました。
三宅:良い反応をいただけて良かったです。
今回のキャンペーンで制作したデザインは車両広告だけでなく、Webや映像などにも展開していただいてますよね。デジタルマーケティング領域にご活用なさったのは、非常に良い展開ですし、可能性を何倍にも広げていくことができると思っています。
広い視点を持って、多くのツールでコミュニケーションとることが今後さらに必要になるでしょう。クロスプロモーションとしての良い事例になれば、これほど嬉しいことはありませんね。